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理工系における英字・ギリシャ文字の書き方を画像で解説

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理工系に進んで仕事をしていくにあたっては、アルファベットとギリシャ文字の書き分けは避けては通れない道です。物理の方程式にはアルファベットの大文字・小文字やギリシャ文字が入り混じるので、書き分けておかないと自分が混乱するのです。

最悪の場合、自分の実験ノートに書いた自分の文字の判別がつかず、値を取り違えてしまう可能性があるので、普段からしっかり書き分けておくことをオススメします。

書き分けといっても結局は自分がわかればそれで良いのですが、ここでは一応の参考例として、一般的に使われているであろうアルファベットとギリシャ文字の書き分けを載せておきます。

 

$x$ と $\chi$

書き分け問題を語るにあたって一番のトピックとなるのがこの $x$ と $\chi$ でしょう。

特に中学生あたりで初めて $x$ に触れた時は、どう書いたらいいのかわからず、とりあえず $\chi$ っぽい感じで書いてしまう場合もあるかと思います。

それに教科書のフォントによっては、$x$ が $\chi$ っぽく見えるんですよね。なので $x$ を $\chi$ っぽく書いてしまっている中高生も少なからずいるかと思いますが、できれば直しておいたほうが良いです。

$\chi$ は磁性体の磁化率を表す時に使うので、無機化学系の道を志している人なら書き分けておいて損はないです。$x$ は普段から非常によく使いますから、いざ矯正しようとなると大変な労力が必要になるんです。だからこそ、まずは普段の $x$ から書き分けておくことをオススメします。

 

$h$ と $n$ と $\eta$

$h$ は特にプランク定数としてよく使いますから、量子力学をやっていると方程式中に $h$ と $n$ が頻繁に現れるのです。これは絶対に書き分けておいたほうが良いです。私は単純に、$h$ の背筋を伸ばすことで書き分けていますが、あまりエレガントなやり方ではないと思うので、もうちょっとこう、筆記体調で書き分けた方が見た目にも美しいと思います。大体の理工系の人はエレガントな書き分けをしていると思います。

また、$\eta$ は有機物質の粘度を表すときに使います。有機化学系の道を志す人ならやはり書き分けておいて損はないです。

 

 

$k$ と $\kappa$

$k$ はお馴染みのボルツマン定数として使いますし、$\kappa$ は熱伝導率としてよく使います。物理化学という同一ジャンルの中で使われる文字ですから、書き分けておいたほうが良いです。

 

$r$ と $\gamma$

$\gamma$ は表面張力や熱容量比を表すときに使います。これは結構楽に書き分けられると思うので、パパッと憶えておいたほうがいいです。

 

 

$v$ と $\nu$

$v$ はもちろん古典力学で速度としてよく使いますし、$\nu$ は主に量子力学で波の振動数を表すときによく使います。

ただ、量子力学ではあまり速度の議論はしないので、$v$ と $\nu$ が共存するシーンはあまり無いかとは思いますが、それでも一応書き分けておいた方が無難でしょう。

 

$\psi$ (書き順)

これは実際の話なのですが、私が大学時代に講義を受けた教授の話。

たしか数学科の先生だったと思いますが、その先生は昔、自分の研究ノートを見返したときに、$\varphi$ と $\psi$ の違いが本当に判別できない箇所があって、大変に混乱したそうです。

こういう感じで、$\psi$ を適当に書いてしまうと、$\varphi$ と見分けがつかなくなってしまうんですよね。

しかもその先生の場合、困ったことに、その判別できない箇所というのが、論文を書く際に重要な情報源となるような箇所だったそうです。論文の提出日が迫ってくる中、自分の書いた $\varphi$ と $\psi$ の字が判別できず、終いにはイチから計算し直すハメになってしまい、それ以来 $\varphi$ と $\psi$ がトラウマになったんだそうな。結局は無事に論文も提出できて事なきを得たそうですが。

そしてその反省から、その後しばらくして、全てのギリシャ文字を数か月かけて書き取りトレーニングして、正しい書き順に矯正したんだとか。

更にはその教訓を学生にも伝えるべく、私たちは授業の最後の期末試験で、なんとギリシャ文字の書き取りをさせられたんですね。数学の問題そっちのけで。

まさか数学の期末試験でギリシャ文字の書き取りをさせられるとは思ってもみませんでしたが、やはり正しい書き方をマスターしておいたほうが自分のためだよということを伝えたかったんでしょう。

$\varphi$ と $\psi$ は共に波動関数の当て字としてよく使われるので、書き分けておいたほうが良いです。

 

 

$\partial$ (書き順)

$\partial$ は偏微分を表す記号として使います。これも同じく先ほどの数学の先生から教わったことなのですが、誤った書き順に慣れてしまうと、アルファベット大文字の $O$(オー)になってしまう恐れがあるため、はじめから正しい書き順に慣れておいたほうが良いとのことです。

 

 

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